『まず、自分で考える。#1 Vendée Globe 2028』
昨夜、IMOCA「MALIZIA」のスキッパーが気になり、AIに詳しく教えてもらいました。
そこから昔の記憶が次々と蘇り、白石康次郎さんのこと、スポンサーや人脈のこと、Mini Transat、ヤニック・ベスタヴェン、そして鈴木晶友君のVendée Globe挑戦へ――。
気がつけば、AI相手に2〜3時間もヨット談義をしていました。
会話全体では、なんと約7万字だそうです。
そして今朝、その長いヨット談義をAIにブログ用にまとめてもらったところ、わずか数十秒ほど。一瞬です。
昔はよくヨットレースの観戦に出かけ、その様子を書いてヨット雑誌に掲載してもらったこともあります。
もし、あの頃にこんなAIがあったら――。
取材して、感じたことを話し、資料を調べてもらい、それを一瞬で文章にまとめる。
もしかしたら私も、立派なヨットジャーナリストになっていたかもしれませんね
(笑)。
そんなことを考えながら、昨夜の長いヨット談義をまとめてみました。
昨日、IMOCAのTeam Maliziaについて調べていたら、いつの間にか白石康次郎さんの話になりました。
私は40年近く、白石康次郎さんの記事を読んできました。
高校を卒業してからヨット一筋。 多田雄幸さんに弟子入りし、単独世界一周、Around Alone、VELUX 5 OCEANS、そしてVendée Globeへ。
好き嫌いやセーラーとしての評価は別として、これだけ長い間、外洋レースを「仕事」として続けてきたのですから、間違いなくプロです。
ただ、昔から私には一つ不思議なことがありました。
なぜ、次から次へとスポンサーがつながるのだろう?
ヨット乗りにとってスポンサー探しは大仕事
私自身も昔、外洋レースに出場し、さらにIMOCAで世界一周レースに出たいと思ってスポンサーを探した経験があります。
また、斎藤実さんをはじめ、長い間さまざまな外洋セーラーを見てきました。
そこで感じるのは、
ヨットが上手ければスポンサーが付くわけではない。
ということです。
むしろヨット関係の企業ほど、道具や技術面での協力はできても、何千万円、何億円というメインスポンサーになるのは簡単ではありません。
ところが白石さんを長く見ていると、2000年を過ぎた頃から何かが変わったように、私には見えました。
2000年前後から変わった人脈
2000年には、アルピニストの野口健さんとの共著『大冒険術』が出版されています。
そして2002~03年のAround Aloneの頃には、スポーツマネジメント会社のスポーツビズが白石さんのプロジェクトを支えるようになっていました。
ここから白石さんは、単なる「ヨット乗り」ではなくなっていったように思います。
メディア、出版、教育、講演、企業。
ヨット界とは違う世界へ、人脈が一気に広がっていった。
私は以前、白石さん本人が「海洋冒険家という肩書もマネジメント会社がつけてくれた」という趣旨の話をしている記事を読んで、なるほどと思いました。
白石康次郎というセーラーそのものが、一つのブランドになっていったのでしょう。
そして2018年にはDMG MORI SAILING TEAMが誕生します。
中古艇を探していたところから、話は一気に「新艇を造ろう」になった。
スポンサーを探すセーラーから、世界企業が持つセーリングチームのスキッパーへ。
これは大変な変化です。
海では風をつなぎ、陸では人をつなぐ
そこで私は勝手にプロファイリングしてしまいます。
白石さんの大きな才能は、セーリングだけではなく、
「人と人をつなぐ力」
なのではないか、と。
一つのスポンサーとの契約が終わっても、また次が現れる。
次があることを知っているような、不思議な自信すら昔から感じました。
もちろん、その裏側を私は知りません。
宗教団体を含め、表には出ない強い人的ネットワークでもあるのかな?などと、勝手なストーリーを作ることもあります。
しかし、これは完全に私の想像です。
ユダヤの教えにもあるように、耳で聞いたことを、そのまま事実として人に話してはいけません。
事実は事実。伝聞は伝聞。想像は想像。
だから、答えを出す必要もありません。
私にとっては「ちょっとした謎」のままでいいのです。
ただ、確実に言えるのは、2000年代以降、スポーツビズというプロのマネジメントが入り、白石さんを取り巻く世界が大きく変わったということです。
海では風の筋を読む。
陸では人脈の筋を読む。
もしかすると、それもプロの外洋セーラーに必要な航海術なのかもしれません。
セーリングの腕は、また別の話
白石さんとは2015年の初島ダブルハンドヨットレースで同じ海を走ったことがあります。
その時は、私たちのほうが先にゴールしました(笑)。
もちろん船も条件も違いますから、それだけで誰が上手いなどとは言えません。
しかし、自分も長くヨットに乗ってきた人間ですから、セーラーを見る時には、どうしても自分なりの評価をしてしまいます。
2020~21年のVendée Globeで白石さんは新艇DMG MORI GLOBAL ONEを走らせ、94日21時間で完走。
2024~25年大会では約90日21時間でした。
次の2028年には、さらに新しいIMOCAで挑戦する予定です。
最新IMOCAは恐ろしく速い。
しかし速ければ速いほど、衝撃も騒音も大きい。
一人で南氷洋を走りながら、細切れの睡眠で艇を飛ばし続ける。
60歳を過ぎた人間にとって、船の性能だけでは解決できない世界でしょう。
果たして80日台まで縮められるのか。
楽しみです。
そして、もう一人の日本人
私がもっと楽しみにしているセーラーがいます。
鈴木晶友(まさとも)君。
彼がまだ中学生の頃、私はヨットのコーチをしたことがあります。
その後、彼は私と同じMini Transatの道へ進み、大西洋を渡り、世界一周を経験し、今度は2028年Vendée Globeを目指しています。
しかも艇は最新艇ではありません。
2006年進水の古いIMOCAです。
私は三か月ほど前、彼にスポーツビズと契約してみたらどうか、と勧めました。
白石さんを長く見てきたからこそ、外洋レースでは「海の力」だけではなく、「陸の力」がどれほど大切かを感じているからです。
私は晶友君のセーリングを子どもの頃から見ています。
だから勝手な予想を言わせてもらえば、
古い船でも、最新艇の白石さんより先にゴールする可能性はある。
と思っています。
若さもある。
腕もある。
もちろんVendée Globeですから、何が起こるか分かりません。
まずは二人とも無事にスタートし、無事にレ・サーブル=ドロンヌへ帰ってきてほしい。
昔、一緒に走った男
そういえば1999年のMini Transatでは、ヤニック・ベスタヴェンと一緒に大西洋を渡りました。
私は9位、ヤニックは12位。
カリブ海のゴールでは、ヤニックが松葉杖をついていた姿を覚えています。
その男が約21年後、2020~21年のVendée Globeで優勝しました。
人生は分からないものです。
昔、同じ大西洋を走った男がVendée Globeを制し、
今度は、ガキの頃にヨットを教えた後輩がVendée Globeを目指している。
そして、40年近く記事を読み続けてきた白石康次郎さんも、再び新艇で挑戦する。
ヨットの縁というのは、不思議なものですね。
スポンサーの謎も、人脈の謎も、答えなど分からなくていい。
風だって目には見えません。
海面を見て、
「あそこに風があるんじゃないか」
と想像しながら船を走らせる。
人間を見るのも、案外それと同じなのかもしれません。
そして2028年。
白石康次郎さんも、鈴木晶友君も、
日本代表、頑張れ!🇯🇵⛵
晶友君が、あの古いIMOCAで先に帰ってきたら?
それはもう――
昔の仲間として、最高にうれしいでしょうね。